インタビュー

大型プロジェクトの舞台裏
2025年1月20日、SLP事業が立ち上げを迎えました。
渡良瀬事業所に続き全社的に推進した大型プロジェクトであり、
門前倉庫という新しい試みでもあったSLPプロジェクト。
このSLP事業立ち上げにあたっての想いや苦労、
また取り組みについて、運営チームと訓練チーム、
異なる立場からのお話をお聞きしました。
SLP: SUBARU Logistics Platform
運営チームの取り組み

今回のSLP立上げ業務で
苦労した点は何ですか?

企画段階からの参入ではなかったことで、現場づくり(レイアウト、物の流れ、WMS仕様など)では企画案と現実のギャップを埋める必要があり、試行錯誤に大変苦労しました。
また、訓練期間は十分ありましたが、訓練用の部品がなく、空箱のみで訓練をしていたため、現実味のある訓練をするのに苦労しました。空箱の数が足りず一連の流れでの訓練(量確)をするのも難しかったです。

立ち上げまでには、作業者の皆さんへの訓練期間は十分にありましたが、実際の入出荷で扱うメーカー箱が全て揃っていない上に、部品が無く空箱のみだったので、本番作業を想定した訓練ができておりませんでした。
これから働いていただく作業者の皆さんには、できるだけ本番に近い訓練を経験してほしかったので、リフト訓練で使用した砂利を計量して小袋に入れ、それを部品に見立てて訓練を行いました。より現実味が出たことで、作業者の皆さんに喜んでいただいたので、苦労した甲斐があったと思います。
SLP課の作業環境は
どんな特色がありますか?

産業車両が多く、リフト25台、タグノバと呼ばれる小型けん引車が18台稼働しています。タグノバにて、4WS台車をけん引した入出庫作業を行っており、女性も多く活躍している職場です。
入荷出荷の際はトラック運転手による自主荷役を廃止し、SLPにて荷役を行っております。トラック運転手にはこの仕事で初めてトラックに乗るようになった方もおり「荷役に自信がなかったので助かります」との声も聞いています。

工場に供給する外部倉庫なので、作業の開始時間、休憩時間、残業が工場に合わせた時間となっており、全ての工程においてタクトで作業を行っています。
定員で作業をしておりますので、作業者の皆さん一人一人のお力のおかげでお仕事ができている職場です。
同じ職場で働くリーダー、
作業者へは
どんな想いで
接していますか?

久しぶりに現場職に戻り、いきなりユニットリーダー(以下、UL)という立場、しかもサブユニットリーダー(以下、SUL)の大半が年上なのでやりにくさはあります。しかしULとして主導権を持てるように、常に声掛けと的確な指示を出すように心がけるとともに、各リーダーの主体性を尊重し、任せるところは任せ、フォローに徹しています。
作業者の皆さんへは、できる限りのあいさつや感謝の声掛けをし、言うべきことは極力SULを通してしっかりと伝えるようにしています。作業者の皆さんから出てきた改善点の意見などは、実行可能なことはすぐにやるようにしていますし、できないことも理由をすぐにお返事するようにしています。

作業者の皆さんに定着していただくための接し方として、安心感を持っていただき信頼関係を築くために、年齢や立場にかかわらず、対等な位置で、なおかつ丁寧な言葉遣いや態度に注意して接しています。
また、リーダーの中にはベテランもいれば、今回初めて部下を持つ方もいます。リーダーの皆さんが一人で悩みを抱え込まないように積極的にコミュニケーションを取り、話しやすく相談しやすい雰囲気づくりを心掛けています。

産業車両訓練チームの取り組み

SLP課の立上げにあたって、2024年10月〜12月まで延べ110名(リフト54名、タグノバ56名)の教育を行っていただきました。中心となったお二人に話をお聞きしています。
SLPのリフト、けん引車の
訓練にあたって、
どんな想いで
取り組まれましたか?

日高 雅博
SLP訓練では、実際の作業環境に近い条件を再現することを意識しました。特にタグノバの運転技能、安全な走行に重点を置き、安全第一をモットーに取り組みました。
作業環境から座学までを通して、事故ゼロの安全な職場を目指した訓練を実施しています。安全性に対する徹底したこだわりが、今回の訓練への想いです。

清瀧 信行
今回の訓練は、非常に多くの採用者を対象に大規模に実施するという点で特別でした。そのため、機材や トラックを準備し、安全基準をゼロから築くことが大きな目標でした。現場で事故を未然に防ぐためにも、採用者に安全の重要性を深く理解してもらうことを強く意識しました。

今回の活動にあたり
苦労された点はどこですか?

日高 雅博
今回の訓練では、リフトの操作が特に難しかったと感じています。タグノバは平面的な左折や右折の操作 が中心ですが、リフトではフォークの上下操作やトラックへの積み込み作業が加わり、複雑さが増します。また、ペーパードライバーへの指導も含めて対応しなければならず、講師としては多くの課題がありました。
それでも訓練を進める中で、教える側のスキルが向上し、より効率的な指導方法を模索できたことは大きな成果です。短期間で100名弱の訓練を実施するのは非常にタフな経験でしたが、全員が一定のスキルを身につけられる環境を整えられたのは良かったと思います。

清瀧 信行
最も苦労したのは、受講者のスキルレベルの違いへの対応です。経験者が多かったものの、中にはリーチリフトしか操作したことがない方や、カウンターリフトが初めてという方もおり、一律の教育をするのが 難しかったです。
また、座学では伝えたい内容が全員に正確に伝わらないこともあり、声や喉への負担を 感じる場面も多くありました。特に大人数を一度に指導する経験が少なかったため、試行錯誤を重ねながら進めた部分も多かったです。それでも訓練が進むにつれ「次はこう教えた方が良い」と改善点が見えてきたのは大きな学びでした。
全体として、大人数への対応が一番の課題でしたが、協力しながら乗り越えられたと思います。

訓練を経て、これからSLPで
ご活躍いただく方に
メッセージをお願いします。

日高 雅博
これからは安全・品質・生産性をお客さまの視点で実現することが重要です。訓練を通じて基本的な作業スキルを習得いただきましたが、現場ではさらに高い水準を目指して努力を重ねてほしいと思います。
お客さまに安心していただける職場づくりを心掛けてください。

清瀧 信行
安全が最優先です。作業に慣れてくると基本操作を怠りがちですが、初心を忘れずに基本に立ち返ることが大切です。また、自分だけでなく周囲の安全も守る意識を持ちながら作業を進めてください。ゼロから基本操作を学んだ経験を生かし、事故を防ぐ取り組みを継続してください。

訓練中に印象的だったことや
嬉しかったことはありますか?

日高 雅博
採用者の方々から「ここまでしっかりとした教育をしてくれるのはありがたい」という感謝の言葉をいた だきました。一般的な導入教育とは一線を画した内容で、多くの方に評価していただけたことが嬉しかったです。

清瀧 信行
訓練を受けた方から「キムラの安全教育のレベルは高い」とお褒めの言葉をいただき、自分自身も誇りに思えました。このようなポジティブなフィードバックは、訓練を進める上での大きな励みになりました。
SLP立ち上げにあたっては、運営チームと訓練チームそれぞれの現場に困難がありましたが、限られた条件や新しい試みに対して試行錯誤して成長し、乗り越えていたんですね。
この経験が他の事業所や、また次のプロジェクトでキムラの成長につながることと思います。
今後も、全国の事業所での取り組みをどんどんとご紹介していきます。